司法書士報酬についての当事務所の考え

司法書士の報酬は、古くは、所属する司法書士会の会則で報酬が定められていましたが(以下、その規定を「旧報酬規定」といいます。)、独占禁止法上の問題があるとして、平成15年1月1日から自由化されています。したがって、現在は、各司法書士事務所が個々に定めることになっています。

当事務所の報酬は、ご依頼内容にもよりますが、驚くほど安いというわけでもなければ(独自の調査を定期的に行い、基本的には相場より高くならないような金額設定をしています。)、それほど高いというものでもないと思っています。

確かに、補助者(従業員)をたくさん雇用して、特定の定型的な案件のみを効率よく大量に受託すれば、低コストでのサービス提供を実現できるでしょうし、実際に、そのような方針をとっている事務所もあるようですが、私どもの仕事は「物」を売っているものではなく、単純作業をしているわけでもなく、「情報」「知識」「知恵」という無形のものを提供する仕事ですので、食料品や自動車のように大量受注生産というのにはそぐいません。経済合理性に鑑みれば、大量受注生産方式では、相当の受託数を維持しなければなりませんから、中には倫理に反するような行為で事件を受託しようとしたり、誇大な広告で誘引したり、資格者たる司法書士の目の届かないところで補助者(従業員)のみで案件を処理してしまったり、困難な案件や定型的でない案件には対応しない(できない)ということに事務所として陥りやすくなるのは理であって、現に、そういうお話も耳にします。

無理をすれば、いずれどこかに歪みが生まれ、結果、続かなくなると思います。

また、安いと思っていたら、実は結果的に安くなかったということもります。司法書士に直接支払ったお金は安かったが、実は提携している他の者への顧問料や何らかのサービス料に上乗せされていて、結局は安くなかったということもあるようです。

私どもが考えるに、司法書士の仕事は、単に利益を追求する仕事ではなく、

「司法書士は、その使命が、国民の権利の擁護と公正な社会の実現にあることを自覚し、その達成に努める。」(司法書士倫理第1条)

「司法書士は、信義に基づき、公正かつ誠実に職務を行う。」(司法書士倫理第2条)

「司法書士は、常に人格の陶冶を図り、教養を高め品位の保持に努める。」(司法書士倫理第3条)

等という高度な倫理が要求されており、その点で、他のビジネスとは、少々、性質が異なります(公共的というか公務員的というか側面があります。)。

これらを達成するためにも、毎月毎月たくさんの文献・書籍・資料を購入し、研修会や勉強会に参加したりして、常に新しい情報や知識を収集して、それを日々の案件に注いでおります。費用もかかますし、労力もかかります。

もちろん、当事務所も、なるべく安くするための努力をしておりますが、業務の質を保ち、また、依頼者に誠実でいるためにも、労力に相応な報酬を頂戴しています。そして、ひとつひとつの案件に対して存分に力を注ぎ、誠心誠意対応するということを大切にして、1を依頼されても、張り切って2や3の仕事をして応えるよう心がけております。

それから、時折、「相談だけなら当然無料」と思われているであろう人に応対することもございますが、前述のとおり、「情報」「知識」「知恵」を提供する仕事ですので、労力(時間)を費やし、責任も発生し、覚悟をもって応対しておりますので、相談だけであっても、相応の相談料を頂戴することにしております。

ですので、「無料相談」というものは、基本的に行っておらず、「ご相談の結果、案件受託を伴わない場合には、相談料として30分当り金5,500円(消費税込)がかかることがあります(ただし、法律扶助適用の場合を除く。)」とご案内させていただいております(もちろん、案件を受託する場合は、相談料は頂戴しておりませんが、実質、受託報酬に相談料相当分が含まれます。ですので、案件を誘致するための相談において、「無料相談」というのは、果たしてあり得るのだろうか???)。

もちろんお話を聞いて、結果として相談料を安くしたり(一応30分当りと書いておりますが、法律事務所と異なり、シビアには捉えていません。)、そもそも頂戴しないということも、数え切れないほど多くありますが、前提として「相談(=無形の「情報」「知識」「知恵」の提供)に対しては、相応のコストがかかるのだ」ということをお汲みいただきたく存じます。

もしも、(法律扶助を除いて)完全な無料相談をご希望であれば、司法書士会や区役所等で行っている無料相談会をご利用ください(私もそちらで相談員をやっています。)。

目指すところは、依頼する側に気持ちよくお支払い頂き、受ける側も有り難く頂戴できることが理想であって、「ここに依頼してよかった。」と思っていただけることが何よりの励みです。また、案件が終了した後、次に何か別のお困りやご相談事が生じた際に「以前あの事務所に依頼してよかったから、今回も依頼してみよう。」「他の人にも紹介しよう。」と思っていただけるような関係が築けるように努めております。

最後に、当事務所は、旧報酬規定を参考にして報酬基準を定めておりますが、依頼したい内容を実現するにはどのようなことが必要なのか、そして、どのような場合にどのような種類の金額が加算されるのかは、実際に依頼者の方にお話を聞かなければ見積もることができませんし、報酬基準を掲載しても一般の方には算定できない(一方的な情報発信となるホームページでは正確に伝わらない。かえって誤解も招く。)と思われるので、ここには細かな報酬基準は掲載しておりません。したがって、分かりやすくするため、料金例という形で掲載いたします。

料金例は、多種多様な条件によって増減いたしますので、概算費用をお尋ねになる際は、「お問い合わせ」に記載された事項についてお知らせください

なお、具体的なご相談をお受けする前段階で、電話等で概算費用のみのお尋ねをいただくことがございますが、お尋ねの際の電話等での限られた情報のみで瞬時にご返答せざるをえませんので、大まかな目安として、幾分高い金額(これ以上はかからないであろうという金額)をお知らせしております
当事務所の過去の経験から、『(ご依頼者は認識していないかもしれませんが)このお尋ねだと、おそらく派生してこの費用も発生するだろうな』等ということが、だいたい分かります。ですので、他事務所と比較なさる場合は、その点、ご留意いただければと存じます。

正式なお見積書は、資料に基づく具体的なご相談の際にご提示いたします。

料金例については、一般のご依頼者様に身近で代表的な案件についてのみ掲載しており、より専門的なケース(信託関係・資産流動化関係・組織再編関係・新株予約権関係・種類株式関係・債権譲渡登記関係等)については掲載しておりません。

【参考】