事務所選びのポイントを教えてください。

A:弁護士・司法書士・行政書士・税理士等々いわゆる「士業」の事務所選びのポイントはどれも共通していると思われ、いずれであっても、しっかりした信頼できる事務所を選ぶことが重要です。どのような事務所がしっかりした信頼できる事務所なのかは、いろいろな考えや意見があるとは思いますが、「どれだけ依頼者一人一人の顔を思い浮かべながら仕事をしているか」「聞きたいことを納得いくまで説明してくれるか」ということだと私どもは思っています。
しかし、どの事務所が信頼できるかは、一度依頼をして、その仕事ぶりを肌で感じなければ正直判断はつきません。それは病院(お医者さん)選びとよく似ていると思います。
そこで、どのように選ぶかということですが、まずは、ご自身の信頼のおける近しい人からのご紹介が一番良い方法だと思います。
しかし、必ずしも身近でご紹介が得られない場合、おそらくインターネットで検索し始めることが多いと思いますので、以下にインターネット上の情報から司法書士事務所を選ぶ際の視点を紹介します。

  1. 事務所の場所(近所か遠方か)
    依頼する司法書士事務所が近所にあったり、交通アクセスが良い場所であったりすれば、移動の負担なく気軽に相談に行くことができます。依頼内容によっては何度か事務所へ足を運ぶことになりますので、ご自宅や職場の近くですと非常に便利です。また、次の依頼や相談も、しやすくなるでしょう。。
  2. 事務所の雰囲気・事務所の体制
    小さい所帯の事務所から会社のような大きな事務所まで、いろいろなタイプの事務所があり、それぞれ一長一短あります。
  3. 司法書士の人柄・経歴・考え方
    1. 出身大学や以前の職業等、個人の経歴。ブログ等。
    2. 司法書士登録日
      司法書士登録日は、司法書士会に司法書士登録をした日のことで、登録日が古ければ古いほど、職歴が長いということになります。
      東京司法書士会での登録番号は、概ね以下のようです。
      登録番号 登録年 登録番号 登録年
      1500番前後 1978年頃登録 4000番前後 2005年頃登録
      2000番前後 1987年頃登録 4500番前後 2007年頃登録
      2500番前後 1992年頃登録 5000番前後 2009年頃登録
      3000番前後 1998年頃登録 5500番前後 2010年頃登録
      3500番前後 2003年頃登録 6000番前後 2012年頃登録

      しかし、実務経験を長く積んだ上で司法書士登録をした人や、他の道府県の司法書士会から移籍して東京司法書士会に登録した人、出産・育児等により一旦登録を取り消して再登録した人等もおります。よって、登録番号が大きいからといって、一律に経験が少ないと判断できるものではありませんし、逆に、登録番号が小さいからといって、即座に経験豊富といえるものではありませんが、一つの推測材料・判断材料にはなります。
    3. 過去の懲戒情報
      司法書士会のホームページでは、過去に懲戒処分を受けたことがある司法書士の懲戒情報を一定期間公開しています。
    4. 研修の履修状況
      すべての司法書士会員は、1年間に最低12単位の研修単位を取得する義務があります (日司連会員研修規則第4条第2項、他) 。履修を義務付けられた研修に参加して所定の単位を取得しているか否かを公開している司法書士会もあります。研修は、業務に対する知識を高め、その資質と専門性の向上を目的として行われるものですので、研修の履修状況を見れば、司法書士が積極的に研修に参加しているか否かが判断できます。
      東京司法書士会でも、令和5年度から、令和4年度以降の単位制研修及び年次制研修の履修状況を、東京司法書士会ホームページ上で、会員情報の一部として情報公開することを予定しているとのことです。
      ちなみに、東京司法書士会会員3,776人(平成27年3月31日現在)のうち、上記12単位の研修単位を取得した会員数の割合(平成26年度統計)は、37.2%にとどまっているようです(つまり、残念ながら、東京の司法書士の3人に2人は、義務付けられている研修単位を取得していないということです・・・。)。
  4. 報酬額
    日本司法書士会連合会のホームページでは、司法書士の基本的な業務について具体的なケースを想定して、全国より無作為抽出した司法書士会員を対象に実施した報酬額のアンケート調査の結果を公開していますので、一つの参考にはなると思います。
  5. 不適切広告
    司法書士は、事実に合致していない広告、誘導又は誤認のおそれのある広告、誇大又は過度の期待を抱かせる広告、他の会員との比較広告、金品を提供する等の利益の供与を提示するような広告等はしてはなりません。不適切な広告や表現をしている場合は、注意が必要です。例えば、「報酬半額キャンペーン実施中!! 先着◎社限定」などというのは、依頼者にとっては確認することができませんよね(おとり広告)。
    最近では、「◎◎支援センター」「◎◎手続ドットコム」等と名乗り、誰が運営しているのかよく分からないホームページもたくさん目にしますので、誰が運営しているのかを確認してみてください。また、行政書士事務所のホームページで「会社設立登記まで代行」と表示した例とか、提携司法書士との表示があっても提携司法書士の氏名・事務所名等の表示がなく真偽が不明な例なども、不適切な広告と言われております。
    依頼しようとする事務所がどのような集客方法を採っているかというのも参考になります。広告宣伝による依頼の誘致に積極的な事務所は、司法書士事務所の情報を集めた広告サイト(マッチングサイト)にあちこち登録してあったり、検索エンジンのスポンサー広告を掲載したり、事務所のホームページをいくつも作成してあったり、交通機関等に広告を掲載したり、折り込みチラシを頒布したりしています。逆に、広告宣伝を行わず、ホームページさえ開設していない事務所もあります。どちらが良いとか悪いとかいうものではありませんが、どのような事務所なのかを推察する上で、一つの参考になる視点です。

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