一般の方で「相続放棄」の意味をきちんと理解されている人は少ないように思えます。
例えば、「母に相続が発生して、相続人は兄と私の2人だけだったのですが、兄が母の面倒を看ていたので、私は相続放棄して、財産をすべて兄に取得させました。」とご相談者は仰います。
しかし、「相続放棄」についてよくよく話を聞いてみると、どうやら相続人間で遺産分割協議をし、すべての財産を兄が取得する旨の協議書を作成したそうです。
これは法的な意味での「相続放棄」ではなく、遺産分割協議の結果、このご相談者が財産を取得しなかっただけです。つまり、「遺産分割協議によって財産を取得しないこと」=「相続放棄」だと誤解されている人が多いのです。
遺産分割協議は相続人間の合意にすぎませんから、例えば、母に借金があれば、いくら全財産を兄が取得すると取り決めても、それを債権者には主張できません。よって、債権者からこのご相談者に対して請求がなされれば、法定相続分に応じた借金を負担することになります。
一方、法的な意味での「相続放棄」は、亡くなった人の財産を包括的に引き継がないこと、相続人にすらならないようにすることを意味します。
そして、「相続放棄」をするためには家庭裁判所で一定の手続きを要します。言い換えれば、家庭裁判所の手続きをしない「相続放棄」はあり得ないのです。
そして、「相続放棄」の手続きは、相続発生を知った時から3か月以内にしなければなりませんので、注意が必要です。
相続放棄のご相談には、まず何を用意したらよいですか?
A:最低限、下記のものがあれば十分です。
- 運転免許証・パスポート等のご本人確認資料
- ご印鑑
- 被相続人の住所・氏名のメモ
- 相続財産のわかるもの(分かっている範囲で)
- 預貯金の金融機関名、支店名、口座番号、金額を記載したメモ 又は通帳
- 有価証券は詳細を記載したメモ(証券種類、発行者、証券番号、口数など)
- 自動車は、登録証(コピーでも結構です。)
- 債権等は、その権原を証する書面のコピー
- 高額な美術品・骨董品等は、詳細を記載したメモ
さらに、下記があれば、ご用意ください。
- 被相続人の死亡の記載のある除籍謄本
- 被相続人の除住民票
- 相続放棄する人の戸籍謄本
相続放棄の手続きにはどれくらいの費用がかかりますか?
A:相続放棄の手続きにかかる当事務所の司法書士報酬は、相続放棄する人1人当り金22,000円(消費税込)です。
このほかに、実費として、裁判所に納める印紙代(金800円)・郵券代(金400円程度)、戸籍謄本代・住民票代・郵送料等の実費がかかります。なお、当事務所で戸籍謄本等の取得をお引受けする場合は、1通当たり金1,575円の報酬がかかります。
忙しくてなかなか手続きができないのですが。。。。
A:相続のご相談やお手続きをお引き受けするためには、一度は当事務所にお越しいただく必要があります。もちろん、ご事情により出張することもできます。
当事務所の営業時間は平日午前9時~午後6時ですが、午後6時以降でも通常は午後8時・9時くらいまで対応しておりますので、お勤め帰りでもご利用できると思います。また、土日祝日でも対応できる日もございますので、お気兼ねなくご連絡ください。